
皆さんこんにちは!メカ旦那です。
通信ケーブルでよく聞く「RS232C」。
昔はPCでよく使われていましたが、最近はUSBやRS485に置き換わり、見かける場面も減っています。しかし現在でもFA装置などの産業機械で使われています。
RS232Cは様々な規定があるため、イラストを用いてわかりやすく解説します!
通信仕様
第1層(物理層)
通信には多数の規格(ルール)があり、組み合わせる事で1つの送受信が成立しています。電気に関する事、データ伝送に関する事、ユーザーが使うアプリに関する事など、その「機能」に着目して規格を分類する手法をOSI参照モデルと言います。

それぞれの層は完全に独立しているわけではなく、例えば下位層の規格利用を前提に、上位層の仕様が設計されていたりする事も多いです。
RS232Cは第1層(物理層)の規格になります。電気的な事を規定しています。
特徴
物理層を含む規格は多数ありますが、特徴で分類するとこんな感じです。

RS232Cは
- デジタル
- シリアル
- 非同期
- 全二重
- シングルエンド
- 主従関係なし
- ユニキャスト
の通信です。
よくわかりませんね、、、一つずつ解説します!
アナログ / デジタル

アナログは連続的な値を取りますが、デジタルは0と1の2値を用います。例えば電話やラジオはアナログですが、PC、マイコンだとデジタル通信が主流になります。RS232Cはデジタルです。
パラレル / シリアル

デジタルは0と1を多数のbitで送受信します。パラレルは複数の信号線でまとめて通信するのに対し、シリアルは1本の信号線を用いて通信します。例としてパラレルはプリンター、シリアルはマウスやキーボードで利用されています。
一見、パラレル通信の方が一度に多くのデータを送信でき効率的に思えますが、配線が長くなると、各信号の時間ズレが発生し、上手く送受信できないことがあります。シリアルはその時間ズレが無い上に配線数が少なく済むため、最近の高速通信ではシリアルが主流になっています。RS232Cもシリアル通信です。
クロック同期 / 非同期

デバイス間で送受信する際、いつ送るのか、いつ受け取るのか、といったタイミング(クロック)を両者で認識する必要があります。クロックが共有されている状態はクロック同期と呼ばれています。対して共有はされていませんが、各々独自のクロックを持って通信することを非同期(調歩同期)と言います。イメージは、クロック同期が同じ壁掛け時計を見ながら通信、非同期はそれぞれの腕時計を見ながら通信、ですかね。
同期通信はクロックが共有されているため、送受信にズレが生じないです。一方、非同期はクロック専用の信号線が不要なため配線数を少なくできるのが特長です。RS232Cは非同期通信になります。
シングルエンド / 差動

デジタル通信なので、何を0とするのか、1とするのかの基準があります。信号電圧がある基準電圧より低い状態を0、高い状態を1とする方式をシングルエンド(不平衡) と言います。対して、信号が2つあり、電圧の差分から0,1を判別する方式を差動(平衡、ディファレンシャル)と言います。
シングルエンドは信号線が1本で済むメリットがありますが、ノイズが入った時に0を1(もしくはその逆)と誤認識してしまう恐れがあります。対して差動信号は信号線は2本いるものの、電圧差を見ている関係上、ノイズによる影響が少ないメリットがあります。RS232Cはシングルエンドになります。
全二重 / 半二重

データを送受信する際、2本の伝送路で別々に行う方式を全二重通信(フルデュプレックス)と呼びます。対して、1本でまとめて行う方式を半二重通信(ハーフデュプレックス)と言います。全二重は送受信を同時に行うことができるのに対し、半二重は同時に行えません。ただし信号線が1本で済むのがメリットです。
RS232Cは全二重になります。
主従関係

シリアル通信は半二重のように1本の伝送路を複数の機器で共有することがあり、「どこがいつ何のデータを送るのか」を決めないとデータ衝突(同時送信)が発生します。このルールは主従関係と呼ばれており、優先権を持つデバイス(主)をマスター、それに応じるデバイス(従)をスレーブと呼びます。具体的には、
- マスターが通信の開始・クロック・アドレス指定を実施
- スレーブは命令を受けて応答
します。
RS232Cは主従関係がありませんので、マスター/スレーブはありません。
各デバイスはノードと呼ばれており、関係性は平等です。
リレーション

通信方式によって送受信できるデバイス数をリレーションと言います。
- ユニキャスト:1対1
- マルチキャスト:1対多(複数)
- ブロードキャスト:1対多(全数)
- マルチマスター(マルチドロップ):多対多
RS232Cは規定はされていないものの、後述のピン機能より事実上ユニキャストになります。
配線
ポイント

なるほど、伝送方式の特徴はなんとなくわかったよ。で、使うにはどうやって配線すればいいの?

そうですね、実際の配線イメージと注意点について解説します。

配線図はこちらです。 ポイントは
- ノード:DTE、DCEの2種類がある
- ケーブル:ストレート、クロスの2種類ある。
- コネクタ:DSUB9ピンが標準。ピン番号も規定で決まっている。
- 信号端子:RXD, TXD, GNDがメイン。RTS, CTSはハードウェアフロー制御で使う。その他はほぼ使わない。
- 信号電圧: 0=+12V、1=-12Vが一般的。
- GNDを合わせる
です。
ノード・ケーブル
元々RS232Cは、昔の電話回線を用いたインターネットにおいてPC⇔アナログモデムを繋ぐ規格として誕生しました。RS232C特有の用語ですが、PCなどのデータ生成・処理を行う端末をDTE(データ端末装置)、DTEの信号を変換し電話回線に乗せる機器をDCE(データ回線終端装置)と言います。

現在のインターネットは光回線が主流で、RS232Cが使われる事はなくなりました。代わりにPC⇔マイコン等のDTE⇔DTE間通信が主で、後はPC⇔産業用機器設定用ポートなどのDTE⇔DCE通信で使われています。

DTE⇔DTE間はクロス、DTE⇔DCE間はストレートと使うケーブルが異なるため、RS232Cを使う際にはまず接続機器がDTE,DCEどちらに該当するのか明確にすることが重要です。
コネクタ・信号端子

コネクタはDSUB9ピン(DE-9、DB9)が使われる事が一般的です。
各ピンに割り当てられる信号は規定で決まっています。ただし現在では全てを使う事はなく、RXD, TXD, GNDをメインで、ハードウェアフロー制御であればRTS, CTSを使います。その他は昔の電話回線インターネットでは使用していましたが、現在はほぼ使いません。
| ピン番号 | 信号名 | 意味_日本語 | 使用場面 |
|---|---|---|---|
| 1 | DCD | キャリア検出 | 現在はほぼ消滅 |
| 2 | RXD | データ受信 | メイン信号 |
| 3 | TXD | データ送信 | メイン信号 |
| 4 | DTR | 端末準備可 | 現在はほぼ消滅 |
| 5 | GND | 信号用グランド | グランド |
| 6 | DSR | データセットレディ | 現在はほぼ消滅 |
| 7 | RTS | 送信要求 | ハードウェアフロー制御 |
| 8 | CTS | 送信可能 | ハードウェアフロー制御 |
| 9 | RI | 着信検出 | 現在はほぼ消滅 |

実はRS232Cはマイコンで一般的なUARTと共通点が多く、よく使う信号端子も同じです。ハードウェアフロー制御についてはUARTの記事でも解説しています。
信号電圧

信号電圧は規格で決まっています。多くのシリアル通信では、0:GND、1:正電圧ですが、RS232Cは異なり0:正電圧、1:負電圧になります。具体的な電圧値は各メーカーで自由に決めれるよう幅がありますが、±12Vが代表例です。
| 論理値 | 呼び名 | 出力 [V] | 入力 [V] | 代表例 [V] |
|---|---|---|---|---|
| 0 | SPACE | +5 ~ +15 | +3 以上 | +12 |
| 1 | MARK | -15 ~ -5 | -3 以下 | -12 |
GNDを合わせる
どのシリアル通信もそうですが、信号電圧によって0、1が決まります。ここで各ノードでGND電位が合ってないと、例えば送信側から出力した電圧が、受信側では意図せず高くなってしまい認識できないという現象が発生します。その為配線図の通りGND間は繋げるようにしてください。
トランシーバ
内部回路
もっとRS232Cを詳しく理解したい方向けに、入出力の仕組みについて解説します。
RS232C機能を持つPC/マイコンには、基板上にトランシーバ(インターフェイスIC)が実装されています(無い場合は類似する回路が組み込まれています)。
以後、この「MAX232EN」を例に、一般的な仕様について解説します。
通信の流れは、
- CPUからUARTで出力した信号を、トランシーバでRS232Cに変換し、外部へ出力する
- 外部からの入力はその逆
です。
UARTって何?という方はぜひこちらもご覧ください!
配線のイメージはこちらです。

ピンの役割はこちらです。
変換器

最近のPCやマイコンってRS232Cポート見ないですよね~

そうなんですよね~
最近は他の通信方式から変換できる変換器が容易に入手できる事もあり、元からポートが付いていないPCがほとんどです。特にUSB変換ケーブルはAmazonで簡単に購入できます。
片方にRS232Cを、もう片方にUSBを繋ぐことで変換と通信が両方できます。ちなみに、ケーブル内部では USB ⇔ UART ⇔ RS485 というUARTを介した変換になっています
RS232Cを利用する上位規格
前述の通りRS232Cは第1層(物理層)の規格になりますが、様々な上位プロトコルがRS232Cを利用しています。代表例について解説します。

RS232C、422、485の違い

なんか色々調べてたらRS422とか485とかも出てきました。違いがよくわからないです。。。

紛らわしいですよね… 違いを表にまとめてみました!
| 項目 | RS232C | RS422 | RS485 |
|---|---|---|---|
| 全二重/半二重 | 全二重 | 全二重 | 2線式:半二重 4線式:全二重 |
| シングルエンド/差動 | シングルエンド | 差動 | 差動 |
| 信号端子 | TXD、RXD RTS、CTS DTR、DSR RI、DCD | TxD+ (T+, Y)、 TxD- (T-, Z)、 RxD+ (R+, A)、 RxD- (R-, B)、 | A、B |
| 終端抵抗 | 不要 | 必要 終端(受信側)1か所 | 必要 2線式:両端2か所 4線式:両端4か所 |
| 接続 | ユニキャスト 1対1 | マルチドロップ 1対N(N=1~10) | マルチドロップ N対M (N,M=1~32) |
| 最大通信距離 | 15 m | 1200 m | 1200 m |
| 通信速度 | ~ 115 kbps | ~ 10 Mbps | ~ 10 Mbps |
| ノイズ耐性 | 弱い | 強い | 強い |
| 用途 | FA機器、 ネットワーク機器の コンソールポートなど | FA機器 ビル管理 など | FA機器 ビル管理 パワコン など |
歴史的には RS232C → RS422 → RS485と進化してきた経緯もあり、現在はRS485が最も高性能な規格になっています。
まとめ
RS232Cの特徴をまとめるとこちらです。
RS232Cは最近のPC/マイコンでは見かけなくなりましたが、昔から使われている規格の為、未だに多くの業界で利用されています。今回の解説が参考になれば幸いです!
また他のシリアル通信についても解説しているのでぜひご覧ください!









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